熱設計講座
#伝熱工学#熱流体#熱対策#熱設計
3日間
~熱によって壊れないものづくりの基礎を学ぶ~
熱設計講座
電動化、部品の小型化、高集積化など今やものづくりにおいて避けては通れない熱の問題。本講座では、伝熱工学の基礎からxlsを使った基盤熱設計の実践まで、熱設計についての具体的な手法や事例紹介をを多数交え、演習を取り入れながら網羅的に学びます。
- 学習ポイント
・伝熱工学の基礎について学ぶ
・電子機器の熱設計/熱対策の基本的手法を学ぶ
・回路基板における熱設計/熱対策の基本的手法を学ぶ
担当講師 | 株式会社サーマルデザインラボ 国峯 尚樹 氏 |
対象者 | ・熱設計を行っているもしくはこれから行う予定のあるメカ系設計者/エレキ系設計者 ・熱流体解析をこれから行う予定の方 ・熱流体解析を行っているが基礎知識を再履修したい方 |
講座レベル | 基礎~中級 実務経験3年程度の方 |
講座形態 | 座学+xls演習 |
1日目 伝熱工学の基礎 タイムテーブル
時間 | 内容 | |
10:00~11:00 | 1.熱設計が必要な背景 電気・電子部品の熱問題 | 座学 |
・集積回路の故障モードとリーク電流 ・熱応力によるパッケージのダメージ ・はんだクラックの発生 ・コンデンサの容量抜け ・コイルの絶縁階級 ・磁石の耐熱温度 ・プラスチックのRTIとは | ||
11:00~12:00 | 2.伝熱のメカニズム ミクロ視点とマクロ視点 | 座学 |
・熱と温度の違いとは? ・熱のオームの法則 ・抵抗の直列則 並列則 ・熱量と熱流量、熱抵抗と熱流束、熱容量 | ||
基本的な熱の計算 ~エネルギー保存~ 【演習】 温度の異なる水の混合 【演習】滝つぼの温度上昇 【演習】ヒータによる加熱時間の計算 | 座学/演習 | |
12:00~13:00 | 昼休み | |
13:00~14:00 | 3.熱伝導 | |
・熱伝導のメカニズム ・熱伝導の基礎式 ・熱伝導率と測定法 ・熱伝導の計算例 ・拡がりの熱抵抗 ・等価熱伝導率の計算 ・接触熱抵抗の計算とパラメータ | 座学 | |
14:00~15:00 | 4.対流 | 座学/演習 |
・対流のメカニズム ・温度境界層と熱伝達率 ・層流と乱流 ・3つの対流促進策 ・自然対流熱伝達率の計算 ・強制対流熱伝達率の計算 ・Excelを使った非線形方程式の計算方法 ・伝熱計算に出てくる無次元数、これだけ知っておけば充分 ・モータ吹付冷却の計算(Excel) | ||
15:00~16:00 | 5.熱放射(輻射) | 座学 |
・熱放射のメカニズム ・プランクの法則からわかること ・放射の基礎式 (放射率、形態係数、放射係数) ・黒と白で冷え方は違うのか? ・アルミ筐体より樹脂筐体が冷える? ・やすり掛けで温度は下がる | ||
16:00~16:30 | 6.物質移動による熱輸送(換気) | 座学 |
・動くものは熱を移動させる ・人体の熱伝導率 ・必要通風孔面積の決め方 ・水冷水量の決め方 | ||
16:30~17:00 | 7.温度予測手法 伝熱工学のアプローチと数値解析アプローチ | 座学 |
・1DCAE 熱回路網法による実務計算 ・3DCAE 熱流体シミュレーションの効果と活用のための注意点 ・モデリング誤差と離散化誤差 ・精度向上のための取り組み |
2日目 熱設計の実践(筐体機器編:主にメカ系) タイムテーブル
時間 | 内容 | |
10:00~10:30 | 1.機器の冷却方式 ~冷媒移動か熱伝導か~ | 座学 |
・電子機器の放熱経路と熱対策マップ ・機器電力密度とデバイス発熱集中度による冷却方式選定 | ||
10:30~11:30 | 2.筐体放熱機器(自然空冷) TIMとヒートスプレッダの活用 | 座学 |
・筐体放熱機器の冷却事例 (5Gスマホ、基地局、ECU、VR機器等) ・多様化するTIMをどのように使い分けるか? ・各種TIMの特徴と選定上の注意点、評価項目 ・液体金属グリースとその実力 ・急増するギャップフィラーとPCM メリット/デメリット | ||
11:30~13:30 | 3.筐体放熱機器(強制空冷)外部フィンと外部冷却冷却ファン | 座学 |
(途中昼休み1時間挟む) | ・外部冷却ファンは風量より風速で選ぶ ・フィンに対する風向とその効果 ・ホロー型ヒートシンク ・車載機器に見る冷却構造 ・インバータの強制空冷 ・EVバッテリーの冷却法(水冷とTIM) ・5G基地局のTIMの使い方 ・iPhoneの冷却構造の変遷 | |
13:30~14:30 | 4.通風換気機器(自然空冷) 最小通風孔面積で最大効果を得る設計 | 座学 |
・通風換気のメカニズムと通風孔の働き ・通風孔面積の決め方 ・吸気口/排気口の配置の原則 ・発熱中心と煙突効果 ・スリット幅と通風抵抗 ・電源通風孔の失敗事例 | ||
14:30~15:30 | 5.通風換気型機器(強制空冷) 換気ファンの特性を100%引き出す使い方 | 座学 |
・冷却ファンの基本的な使い方と選び方 換気扇か扇風機か? ・吸排気口面積の決め方 風風口が大きすぎてはいけない ・PULL/PUSHの決め方 メリット/デメリット ・最大出力ポイントで動作させるには ・塵埃・騒音対策 | ||
15:30~16:00 | 6.ヒートシンクの熱設計 | 座学 |
・多様化するヒートシンクの種類特長 ・冷却方式から見た分類と性能 ・目標熱抵抗から始める熱設計手順 ・熱抵抗と包絡体積 ・広がり熱抵抗の低減 |
2日目 熱設計の実践(筐体機器編) タイムテーブル
時間 | 内容 | |
16:00~16:30 | 7.冷却デバイスの活用 ヒートパイプ、ベーパチャンバー | 座学 |
・大型化するヒートシンク ・小型化するデバイスによる拡がり熱抵抗/接触熱抵抗の低減策 ・PS5に見る集熱構造とヒートパイプによる低コスト設計 ・XBOXにみる風量分配構造と高性能ベーパチャンバー | ||
16:30~17:00 | 8.機器熱設計の手順例 | 座学 |
・ECU(密閉自冷)の熱設計事例 ・強制空冷インバータの設計 など |
3日目 熱設計の実践(回路基板編:主にエレキ系) タイムテーブル
時間 | 内容 | |
10:00~10:30 | 1.なぜエレキ屋の熱設計が重要になったのか? | 座学 |
・部品放熱経路と放熱割合 ・「熱はメカ屋の仕事」の時代は終わった ・熱が引き起こすトラブル事例 原因は基板? | ||
10:30~11:30 | 2.設計に必要な熱特性の把握 | 座学 |
・部品からの放熱経路と放熱割合 ・基板の等価熱伝導率計算 ・残銅率、銅厚と等価熱伝導率 ・等価熱伝導率と部品温度 ・コイルの絶縁階級 | ||
11:30~12:00 | 3. 半導体の熱抵抗とその使い方 | 座学 |
・部品熱抵抗(θJC/ψJT)の定義と測定法 ・測定できないジャンクション温度Tjをどう予測? ・データシートにある熱特性の読み方/使い方 ・SOAの見方 | ||
13:00~13:30 | 4. 半導体部品の熱対策とその効果 | 座学/演習 |
・部品サイズと熱抵抗/PKGタイプと熱抵抗 ・E-pad有り無しの差 【演習】部品サイズと温度との関係を予測 【演習】e-pad有無の差を予測 | ||
13:30~14:30 | 5基板熱設計の手順 最初にマクロ評価、次にミクロ評価 | 座学/演習 |
・熱源を固めない 基板の温度上昇は熱流束に比例する ・熱を拡散する 熱源分散と熱拡散は基板熱対策の基本 ・部品熱対策の難易度は「目標熱抵抗」で決まる 【演習】危険部品を見つける「危険部品判断シート」 【演習】目標熱抵抗から基板実装スペースを決める | ||
14:30~15:30 | 6. 基板熱設計の常套手段とその効果 | 座学/演習 |
・部品温度を下げるための7つの方法 ・部品と基板の熱結合強化 ・放熱パターン設計(配線幅や銅厚の効き方) ・内層の活用とサーマルビアの設計法 ・基板を介した部品相互影響 ・配線ジュール発熱対策 ・基板間実装ピッチと温度上昇 【演習】 部品レイアウトと温度上昇 【演習】 サーマルビアの最適本数 【演習】 配線パターンとジュール発熱による温度上昇 | ||
15:30~16:00 | 7.ジュール発熱による温度上昇 | 座学/演習 |
・部品サイズと熱抵抗/PKGタイプと熱抵抗 ・E-pad有り無しの差 【演習】部品サイズと温度との関係を予 【演習】e-pad有無の差を予測 | ||
16:00~16:15 | 8.基板放熱設計の失敗事例に学ぶ | 座学 |
16:15~17:00 | 9.温度計測手法 | 座学 |
熱電対の温度測定誤差を抑えるには ・熱電対の種類・太さ・固定法による測定結果の差 ・精度の良い温度測定のために行うべきこと ・サーモグラフィーの原理と誤差 ・放射率の測定方法 ・サーモの解像度と測定温度 |
※時間配分は目安となります。